「どんな音楽が好き?」って質問は難しい

こんばんは森林です。

今日は会社の先輩(古瀬さん:仮名)と飲みに行きました。

 

最初は仕事の話とかを真面目にしていたのに、途中からHIPHOPの話ばっかしてた。TXは若くして死んだ天才で、般若は遅咲きのレジェンドらしい。あとBAD HOPとナメダルマはガチ。

 

 

僕は普通にCreepyNutsが好きだけど、HIPHOPはサンプリングって文化が良い。これは先代のラッパーの歌詞をラップバトルや楽曲に引用することだ。これが組み込まれていると、先代のラッパーを現役のラッパーがリスペクトしているのが伝わってくる。

 

もうね、R指定が凄すぎるから見てほしい。

 

www.youtube.com

 

 

今日はそんな音楽の話。

「こんな音楽が好き」って説明するの、難しいよね。

 

 

 

 

【「音楽が好き」と言えない2つの理由】

 

まずはこのツイートを見てほしい。

 

 

これは「何の音楽が好き?」という質問に対する回答の難しさを描いた漫画だ。

 

「二つの理由」と書いておきながら結論が分かりにくいことは置いといて、作者の主張は以下の2つ。

 

(1)「音楽」は幅が広すぎる
→「ロックバンドなら何が好き?」「マイヘアなら何が好き?」のように幅を狭めるべき

 

(2)人によって聴き方が違う
→みんなちがってみんないいよね

 

この2つの理由には大いに納得が出来る。音楽ってジャンルも物凄く沢山あるのに「どんな音楽が好き?」とだけ聞くのは、ある意味無責任だと思う。

せめて「私はサカナクションとかが好き。あなたは?」と聞いてくれれば「そういう系だとくるりが好きかな。サカナクションといえばこないだ初めて「聴きたかったダンスミュージック」を聴いて、衝撃を受けたよ」と話が広がるのに。

 

同じ曲によって聴き方が違うのは、「1つの曲に対する解釈を深めることができる」という点で、寧ろ良いことなのでは?と思う。

 

 

まあ、僕はある程度のこだわりというか、好きな音楽に関しては「ここが好き」と説明できる自信があるので、「何の音楽が好き?」という質問には困らない。

 

ただ、相手にその気があるかどうかは別問題だ。

例えば「好きな音楽何?」と聞かれた時に「んーバンドならマイヘアかビーバーが好きだけど、一番多く曲を知ってるって意味ではモンマジかな。2008年くらいに流行った音楽が好きでレミオロメンとかめっちゃ好き。でも最近はバンドじゃなくてHIPHOPやラップにもハマってて、MOROHAとかCreepy Nutsを聴くかな。Creepy Nutsは最近菅田将暉と曲出したんだけど、サントラ聴いた?」(オタク特有の早口)と答えたとする。

 

もし相手がこれだけの熱量を期待して無かった場合、「え、菅田将暉って新しい曲出すん?」と聞かれて終わりになるだろう。

僕としては「マイヘア好きならクリープハイプ好き?」とか「ビーバーのハイライトめっちゃいい曲じゃね?」みたいに返してほしいのだが、そう上手くいかない。

 

こういった時、質問した側が思っていることは、「そこまでの熱量で答えられると……困るな……」だ。

 

 

ただこの場合、質問した側は「好きな音楽」を知ることが目的でない可能性がある。

これは「好きな音楽」という質問を通じて、その人がどういうキャラクターなのかを知りたいだけなのだ。

 

 

 

【タグとしての音楽】

 

僕らはたまに「何の音楽が好き?」「このバンドで一番好きな曲は何?」みたいな質問をされることがある。

 

純粋にその人の好きなものを知りたいっていう気持ちも勿論あるだろうが、殆どの場合は「音楽」というコンテンツを通じて「どういう人なのか?」を知る目的で質問されることが多い。早い話がタグ付けだ。

 

HIPHOP好きならアメリカ文化やアングラな雰囲気が好きなのかな?となるし、クリープハイプが好きなら下北沢も好きでしょ、となる。

 

なので「何の音楽が好き?」という質問をされた時は、「この人にはこういう風に思われたいな」となるアーティストを上げるのがいいと思う。

 

 

ちなみに僕は新卒で入った今の会社では「上の年齢層にも話を合わせられるバンド好き」をアピールするために「くるり」や「サンボマスター」と答えている。

 

 

あと余談なんですけど、ヒゲダンを好きな人は全員良いやつです。


note.com

 

 

 

【共通の話題としての「音楽」】

 

ただ、こういう時にミスマッチが起きる場合もある。

その原因は今の音楽業界を取り巻く実情にある。

 

 

かつて「音楽」というコンテンツは、人と人を繋げる「潤滑油」の様な役割をしていたらしい。(就活?)

 

【いま音楽を「聴く」理由はない?:新しい音楽の学校 受講生が感じる「業界の課題」】

 

 

上の記事では、音楽業界における実情を以下のように表してる。

 

若林は受講者の言葉に応えるなかで、「音楽には価値がある」という前提がすでに壊れていることを指摘する。かつて音楽産業が大きくなっていたとき、楽曲は会話のタネとなり「社会の潤滑油」としての役割を果たしていた。その役割をもはや音楽が果たせなくなったいま、「なぜ音楽が人間にとって重要か?」という問いから考え直す必要があるという。

 

これは「ドラマ」とかのエンタメにも同じことが言えると思う。

昔は「ドラマ」と言えば「キムタク!」だったが(偏見)、現在はアベマなどのネット番組やNetflixのようなサブスクが普及したお陰で、ドラマの幅が広くなった。

 

なので一口に「ドラマ」とい言っても「恋つづ」なのか「フォロワーズ」なのか「愛の不時着」なのかわからない。選択肢がひとつじゃなくなった「ドラマ」という話題は、潤滑油的な役割をどんどん終えていくのだと思う。

 

 

そしてこれは「音楽」にも言えることだ。

 

YoutubeApple music、Spotifyの普及により、誰でも好きな音楽を楽しめるようになった。その一方で、会話の切り口としての「好きな音楽何?」という話題も、人によって違いがあるので合わないことが多い。「音楽」もまた、潤滑油としての力を失いつつある。

 

 

 だから「どんな音楽が好き?」って質問に答えるのは難しいのだ。

 

 

(バンドのグッズやアーティストのステッカーとかは、こういうミスマッチを無くすために存在しているのかな、と思った)

 

 

【まとめ】

 

まとめです

 

・「どんな音楽が好き?」という質問は
(1)「音楽」のジャンルが多すぎる
(2)人によって聴き方が違う
という理由で答えにくい

・「どんな音楽が好き?」という質問は「その人のキャラクターを判別するため」にされる場合がある

 

・ネットやサブスクの普及によって、音楽の選択肢が広がった

 

 

書いてたらフェス行きたくなった。(2,789文字)